これなんだ?【御車山車輪修理】
文化財の修理修復
さて、これが何かと言いますと…
何かの痕跡のようでしょ?
かわいらしい花型です。
この正解は…
これです!加賀藩主前田家の、梅鉢の家紋の形の金具を外した跡なのです。
真ん中のところに、けっこう太い真鍮釘で、ぐいっと留めてあるんですね。
これは単純な例ですが、確かに釘もデザインの一部として使われています。
台は木材に漆を塗ってあるのですが、経年でついた傷もあれば、
金具を磨いた際の磨き粉が残っていたり、金具と木材の間の隙間に
細かな埃のようなものがたまったり…という、その結果が写真の状態。
この車輪は明治時代に新調されたものだということですが
それでも約百年の間、何度も奉曳されていることを考えると
当然の結果というか、むしろ大事にされているからこの程度なのかもしれません。
一つの車輪にはたくさんの金具が使われていて…
↑これでもごく一部です。
同じ形の金具をまとめて、結束してあります。
こんな長い金具のいくつかは、折れたりしているものもあったようで
それはちゃんとペアにして、別に保管してあります。
こちらは抜いた釘の方です。
緑色になっているのは、緑青(銅の錆)ですね。
雨にあたることもあるでしょうし、内側に水分が入り込んだ結果かと思われます。
しかしよく見ると、長さも太さもいろいろ…
明日はもう、金具の本格的な汚れ取りが始まるようです。
修理作業が始まりました【御車山写真修復】
文化財の修理修復
職員一同「まだ腕が痛いよ~」と、いささか疲れの残る
休館日開けの高岡地域地場産業センターです。
今日は朝から好いお天気。
これから始まる修理が調子良く進んでいく予感…
車輪修理の第一段階は(準備として先日記録をしています)まずは金具を外すところから。
写真は作業を始められた、金工部会の佐野宏采先生(日本工芸会正会員)。
先日据えた台の周りに座り、金具を一つ一つ丁寧に外していきます。
こちらは外す作業の手元を拡大で。
修理協会金工部会長・伝統工芸士・現代の名工でもある鳥田宗吾先生の手元アップです。
おや?よく見ると、刃先に抜け始めた同色の釘が!
御車山車輪の金具は真鍮でできていて、同じ真鍮素材の釘で打ち付けてあります。
おぉ、けっこう太いですね
この真鍮釘、素材が同じ=色も同じなので当然目立ちにくい作りなのですが
デザイン的にも飾りとしての役割を果たしており、
普段はまったく「留め付け用のもの」ということを感じさせなくなっているとのこと。
うーん、今日の作業が済んでから、こっそり確認に行かなくては…
こちらは外した金具です。
元に戻すための番号付き。
けっこういくつも釘穴が開いてますね。
一つの車輪に、いったいいくつの金具が付いているのでしょう。
こちらは裏側です。
まずは外して、埃や油の塊のような固形の汚れを取り除きます。
それから本当の洗浄の意味で、なんと煮るんだとか…
お邪魔にならない程度にときどき覗かせていただいて、
ざっくりざっくりですが、お伝えしていきたいと思います。
高岡地域修理者協会の活動等については、修理協会HPをご覧ください。
過去に手掛けた文化財等も掲載されています。
※本ブログ内では、職人さん・作家さん方のお名前について、作品などの検索等と合致しやすいよう、号をお持ちの方は皆さん雅号掲載で統一をさせていただくこととしておりますので、予めご了承願います。※
みどりのおにぎり???
本日の作業
こんなのもあります
…実はうちの某スタッフが、今年の枝切り係を仰せつかった私に一言…
「あのツゲ、顔あるんですよ」
な、なにっ?どこにっ??
(だってこの時点では他の誰もそれを知らなかったんですよぅ)
そう思いながら行くと、確かにここがカットされていたのだろうと思えるような痕跡…
ツゲは今、柔らかそうな新芽を出して(葉は小さいですが、お茶の芽なんかとよく似た感じです)
さらに小さな花をたくさん咲かせていて、
ちょっと伐るのがためらわれつつも、思い切ってハサミを入れてみました。
さすが細工物に使う木ですね、新芽じゃない枝の部分は、細くてもしっかり固くて
ずいぶんとがっしりしていました。
で。揃えるには顔を作るのが一番のようだったので
もうこのツゲは顔があることにするしかないっ!と…
なにやらみどりのおにぎりのような、みどりのゴ○太くんのような、モ○ゾーのような…
いや、横から見るとモ○イのようでもあったのですが
いやなにか、どこかで見た顔のような気がいたします。
一応、後ろから見ると普通のツゲの木なのですが。。
(足元もちゃんときれいにしたんですよ)
そんなこんなの一日でした~
草刈り&植木の剪定
本日の作業
今日は朝からみんなで草刈り&植木の剪定をしておりました。
朝から数時間ずっと枝切りばさみを握っていたので
腕がしびれてしまっています
書くのに時間がかかります。。。
センター周りの植え込みや花壇の草刈りや剪定は、実は手前でやっております。
ん?
誰ですか、「お金ないからでしょ?」なんて言ってるのは
やっぱりこうして手をかけると愛着が湧くと言いますか、
いろんなことに気がつくのです。
(ほんとはほんとはお金ないのもあながち間違いじゃないですけれども…)
一応こうして手をかけまして、あちこち修理したりお掃除したり
なんとかやっておりますので、古い施設ではありますが
温かい目で見てやっていただけますと嬉しいです。
写真は入口脇のツゲの植え込み。
枝が折れたりしていてきれいな形にはできませんでしたが
私も初の剪定に挑戦してみました♪
羽化したて(?)のような大きな蛾が出てきたり、
なんでこんな浅いところにっ!?と思うような大きな甲虫系の幼虫が草の根っこと共に出てきたり
トカゲがぞろぞろ逃げていったり
大きなミミズが驚いたように土の中に潜って行ったり
敷地のあちこちで「きゃー!」とか「うわー!」とか(えっ、私だけ??)
言いながらの野外作業でした。
全体的に見ると、ずいぶんとすっきりさっぱり☆
明後日以降、また気持ちよく開館できそうです。
※火曜日は休館でございます<(_ _)>※
そうよ私が看板娘♪
施設情報
…って、私のことじゃありません
先日産業資料館のことをご紹介した際に、資料館の入口には
かの、美空ひばりさん!(の、銅像の、原型)がお出迎え、と書かせていただいたのですが、
彼女(?)は強いて言うなら「看板娘3号」さんでして(外側から順番)
今日は「看板娘2号」さんをご紹介させていただきます。
↑センターの入口で、「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」と
誰かが通るとおじぎをするお嬢さん(あ、そういや名前がないかも)。
当センタースタッフ間では、「一番の働きもの」なんて言われる彼女でございます。
彼女は台の上に正座してまして、多分台にセンサーが仕込まれていて
感知すると、入口側の方から来た人には「いらっしゃいませ」
出ていく方向の人には「ありがとうございました」と言ってくれるのです。
…?何?んなもん珍しくない??
いやまぁ確かにそうなんですけど、でもですよっ?
この子が昭和58年から居るって、すごいと思いません??
だって昭和58年って言ったら、テレビはカラーだけどすごく大きかったし、
パソコンは白黒で家庭用なんて当然デスクトップでむちゃくちゃ高かったし、
まだレコード盤の世界ですよ???
その時代に、こんなセンサー付きで頭をさげてご挨拶するお嬢さんが存在したなんて
私ここに来るまで知りませんでした…
お子さんにはちょっと怖いかしら…なんて思っていたら、
おちびちゃんたちには意外と人気。
あっち向きこっち向きと、彼女の前を行ったり来たり。
(この子で入館者数計数は行っていませんのでご安心を)
長い間働いている彼女ですが、まだまだ元気です。
本日の写真はおじぎ中の姿ですので、
ぜひ彼女が顔をあげているところをご覧にいらしてくださいね。
修理準備開始です
文化財の修理修復
蒸し暑~い
この早くも梅雨のような気候がイライラし気にかかりますね。
北陸の梅雨はいつももう少し後だと思うのですが…
さて、先日からお伝えしている御車山の修理ですが、
搬入したら「さぁ作るぞー!」という訳にもいきません。
まずはいろいろ下準備。
最初に計測をして、どの部品をどの部分につけるかをちゃんと控えて、解体して、
汚れも落として、それから破損部分を修理する…と。
なので、まずは計測と記録からなのです。
写真はうちの金工担当スタッフが、記録をはじめた様子です。
高校生のバイトくんじゃないですよ
車輪は真中の部分、各骨の部分、周囲も輪の部分が二重にそれぞれ8等分ずつ、
木材の部分でもこんなに分かれます。
あとは、この見事な金属の飾り金具たちと
周囲にぐるりと嵌められた鋳物の輪。
これらが全て元の位置に収まるように、しっかり記録していきます。
伸びない糸を貼ったり、いろいろタグを貼ったりしてますので
ぜひ拡大してご覧になってくださいね。
車輪の古さもよく見ていただけるかも。
※記事中では、車輪各部位について、単純に「部品」「輪」「骨」などの表現をしています。
それぞれ名称がありますが、簡略化しておりますのでご了承ください。
御車山の車輪搬出(6/4)
文化財の修理修復
6月4日(土)に行った、修理のための御車山車輪の
山蔵からの搬出の模様をご紹介します。
その前に、御車山とは…
かつて太閤・豊臣秀吉公が後陽成天皇と正親町上皇を
聚楽第へお招きする際に使った御所車を
加賀百万石の殿様、前田利家公が拝領されまして
その後二代藩主利長公が高岡の町人に下賜され
その車を模して他6基の山車を高岡の工人が作り上げた
重要有形文化財(お祭りは無形文化財)です。
独特の花笠山スタイルが、優美でもあり、どこかかわいらしくもあり。
山車とお祭りの詳細については、高岡御車山公式HPへどうぞ。
(高岡は加賀藩領内で、利長公は高岡に築城しようとなさったのですが
一国一城令により建築初期のうちに取り壊しとなりました。
城の縄張りは高山右近とされ、現在もお城そのもののような構成と
大きな石を使った石垣などが残る、屈指の水濠公園として残っています。
廃城のあとは藩の米蔵・番所等として、明治に入って払い下げられてからは
市民憩いの公園として、そして幻の城であるにもかかわらず日本100名城に選ばれ、
高岡のシンボルとなっています。)
…おっと、お城の話が長くなりました
で、この7基の山車のうち、一番街通の車輪修理が
現在高岡地域文化財等修理協会の皆さんによって手がけられており
その修理作業のために、当センターの工房へ車輪を移動した…ということになります。
山蔵の中では、上部の人形などは取り外され、地山(囃子方さんが入る部分)と
車輪の状態にしてあるそうです。
↑写真は、まずは山車を牽き出し、車輪を外して傾かないよう
クレーンで上に引き上げておき、片方の車輪を外したところ。
左側に伸びている布を巻いた部分が、車を牽く部分になります。
下に当っているのは、車輪を取り外した時にかませておくために作った
車輪付きの台車です。
前輪をこうして外し、センターへ運んでいる間に、今度は後輪を外す作業。
蔵の奥へ車体を移動させ、今度は後部を吊り上げて、後輪を外します。
↑大変重いので、荷台への積み込みもクレーンで。
↑車輪を積み込む前に、いろいろと確認。
監修の林富山大学教授、修理協会会長の人間国宝・大澤光民先生はじめ
錚々たる(作業服なのでご存知の方にも分かりづらいかもしれませんが…)
関係者の皆さんがそろっておられます。
そうして積み込んだ車輪がセンターへ届いた様子は、
過去の記事をごらん願います。
修理は今月半ばあたりから始まるもようです。
お知らせ
その他いろいろ
当センターの公式HP「四季のギフト」に
キーワードでの商品検索機能をつけてもらいました!
左サイドの「検索キーワード」部分に単語を入れていただきますと
タイトル、説明文、産地、商品説明などから、
該当するキーワードを含んだ商品を検索していただくことができます。
複数単語検索も可能。
スペースで区切って、複数の単語を入力してみてください。
例えば、「置物」だけだといろいろな置物がたくさん出てきますが、
「置物 井波」だと井波彫刻の置物が、
「置物 達磨」だと銅器や木彫の達磨さんが、
という感じでお調べいただけます。
※申し訳ございませんが、全角⇔半角、漢字⇔カナ⇔かな、大文字⇔小文字を
同じと判別する機能はございません。
例えば「竜」「龍」など、商品名などで双方使われている場合がありますので
表現がいくつか考えられる場合には、お手数ですが何度か言葉を変えてお調べ願います。
先延ばし、です<(_ _)>
本日の作業
午後から御車山の車輪を山蔵から搬出したところをUPしまーすと
お昼頃に言っていたにもかかわらず…
動画と写真をたんまり撮ったので、
どうしたものかまだ整理がおいつきません(byお出かけ部隊)
…当然その後あった修理打合せの後処理とかもあるものね
さすがにそろそろ暗くなってきて、仕方ないなぁ…
整理でき次第、お伝えします。
ところで私が今思った疑問。
「御車山の車輪ひとつは一体何キロ??」
即座に目の前で仕事中のお出かけ部隊に投げてみると…
お出かけ部隊1号の予想…400キロ弱。
なぜなら、積載400キロのジャッキが
だんだん下がるほど負荷がかかってる。
中心部のカブラ(真中の、盛り上がっている
部分)が一人で持てないし。
お出かけ部隊2号の予想…130キロからせいぜい150キロとか。
だって、成人男性4人位でなんとか持てるし。
うわぁぁ、なんだかすごい差があること二人で言ってるんだけど…
今回の修復の間に、計量すると言ってます。
その答えも、またいつかご紹介します。
次の車輪が来るまでに
本日の作業
車輪の異動は前輪・後輪1対ずつ。
最初の搬入後、ちょっぴり時間がありました。
あと1対の積み込みを終え、一足先に一番街通さんの蔵からセンターへいらした
今回の修復の監修者、富山大学芸術文化学部の林教授。
確認中のところを、お邪魔しないように入口からこっそり。
「うちになったさくらんぼ、どうぞ」
と下さったのは、修理協会漆工部会長の宮下先生。
先生、これって私のおやつ?
「なんかに挿して飾っとかれ」
あ、そっちの方ですね
でも可愛い!すごく可愛いし、きれいな実がたくさんなってます!
ではさっそく飾ろう♪と、庭の野草グリーンと合わせて
花瓶に挿して、パンフレット置き場に飾らせていただきました。
え?銅器の花瓶じゃないのか?
いや、あの、それは売場のものでして…
※売場も現在富山のガラスフェア開催中でございます※
そんなこんなのうちに、第二陣到着。
こちらは後ろの工房へ入ります。
センター裏の細い駐車場を、ゆっくりゆっくり後進中…