文化財の修理修復

漆部分の修復が始まりました【御車山車輪修復】

文化財の修理修復

木部の修理が終わった車輪は、今度は漆塗の工程へ。
漆工修復 (2)
修理協会漆工部会の皆さんが、今週月曜から作業に取り掛かられました。

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木部の修理が始まってます【御車山車輪修復】

文化財の修理修復

最近御車山の車輪修理のお話を書いてませんでしたが
(だって、金具も木部もバラして職人さんの工房で作業中だったんですよぅ
本日はこちらのご紹介↓
CIMG6123.jpg
車輪木部の修理についてです。

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御車山車輪の重さ(中間報告(?))【御車山車輪修復】

文化財の修理修復

6/4(土)から懸案(?)の、御車山車輪1つあたりの重量の後日談です。→6/4 「先延ばし、です」

車輪1つは何キロなの
というしごく単純な疑問に端を発した車輪重量計測。
どうやって量ろう~と最初困っていた修理担当スタッフですが
解体してから細かく計量することに決定。
まず車輪本体の各パーツを計測した結果が合計約190キロ。
400キロ弱 or 130~150キロという見事に異なる予想を出した
搬出時のお出かけ部隊1号&2号ですが、
ここで190キロ(+金具アリ)ですから、2号の予想より既にオーバー
(でも確かに4人でけろっと持ってらしたようなので、
 もしかしたら搬出作業をされた皆さんて、けっこう力持ちさんなのかも)
これから金具の計測をして、合計重量を出してみる予定です。

車輪バラバラ解体事件【御車山車輪修理】

文化財の修理修復

直径164cmの御車山車輪ですが…
車輪金具付き
(写真は搬入したて、まだ金具がついている状態)
先般から金具を外し、(金具はいったんピカピカになり→6/28)
木部と外側の鉄枠だけになっていたのですけれども、
この大きな車輪がなんとバラバラに!!

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Before&After【御車山車輪修理】

文化財の修理修復

金属って、こんなに汚れが取れるんですねー!!
金属ド素人のブログ担当は、見学に行くたびにびっくりびっくりの修理工房。
まずは、先日お伝えした、車輪から取り外したなりの金具の写真。
(いきなり裏からですいません
金具の裏側

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これなんだ?【御車山車輪修理】

文化財の修理修復

跡
さて、これが何かと言いますと…
何かの痕跡のようでしょ?
かわいらしい花型です。
この正解は…
梅鉢金具
これです!加賀藩主前田家の、梅鉢の家紋の形の金具を外した跡なのです。
真ん中のところに、けっこう太い真鍮釘で、ぐいっと留めてあるんですね。
これは単純な例ですが、確かに釘もデザインの一部として使われています。
台は木材に漆を塗ってあるのですが、経年でついた傷もあれば、
金具を磨いた際の磨き粉が残っていたり、金具と木材の間の隙間に
細かな埃のようなものがたまったり…という、その結果が写真の状態。
この車輪は明治時代に新調されたものだということですが
それでも約百年の間、何度も奉曳されていることを考えると
当然の結果というか、むしろ大事にされているからこの程度なのかもしれません。
一つの車輪にはたくさんの金具が使われていて…
外した金具
↑これでもごく一部です。
同じ形の金具をまとめて、結束してあります。
こんな長い金具のいくつかは、折れたりしているものもあったようで
それはちゃんとペアにして、別に保管してあります。
抜いた釘
こちらは抜いた釘の方です。
緑色になっているのは、緑青(銅の錆)ですね。
雨にあたることもあるでしょうし、内側に水分が入り込んだ結果かと思われます。
しかしよく見ると、長さも太さもいろいろ…
明日はもう、金具の本格的な汚れ取りが始まるようです。

修理作業が始まりました【御車山写真修復】

文化財の修理修復

職員一同「まだ腕が痛いよ~」と、いささか疲れの残る
休館日開けの高岡地域地場産業センターです。
今日は朝から好いお天気。
これから始まる修理が調子良く進んでいく予感…
作業開始
車輪修理の第一段階は(準備として先日記録をしています)まずは金具を外すところから。
写真は作業を始められた、金工部会の佐野宏采先生(日本工芸会正会員)。
先日据えた台の周りに座り、金具を一つ一つ丁寧に外していきます。
鋲をはずす
こちらは外す作業の手元を拡大で。
修理協会金工部会長・伝統工芸士・現代の名工でもある鳥田宗吾先生の手元アップです。
おや?よく見ると、刃先に抜け始めた同色の釘が!
御車山車輪の金具は真鍮でできていて、同じ真鍮素材の釘で打ち付けてあります。
おぉ、けっこう太いですね
この真鍮釘、素材が同じ=色も同じなので当然目立ちにくい作りなのですが
デザイン的にも飾りとしての役割を果たしており、
普段はまったく「留め付け用のもの」ということを感じさせなくなっているとのこと。
うーん、今日の作業が済んでから、こっそり確認に行かなくては…
外した金具
こちらは外した金具です。
元に戻すための番号付き。
けっこういくつも釘穴が開いてますね。
一つの車輪に、いったいいくつの金具が付いているのでしょう。
金具の裏側
こちらは裏側です。
まずは外して、埃や油の塊のような固形の汚れを取り除きます。
それから本当の洗浄の意味で、なんと煮るんだとか…
お邪魔にならない程度にときどき覗かせていただいて、
ざっくりざっくりですが、お伝えしていきたいと思います。
高岡地域修理者協会の活動等については、修理協会HPをご覧ください。
過去に手掛けた文化財等も掲載されています。
※本ブログ内では、職人さん・作家さん方のお名前について、作品などの検索等と合致しやすいよう、号をお持ちの方は皆さん雅号掲載で統一をさせていただくこととしておりますので、予めご了承願います。※

修理準備開始です

文化財の修理修復

蒸し暑~い
この早くも梅雨のような気候がイライラし気にかかりますね。
北陸の梅雨はいつももう少し後だと思うのですが…
さて、先日からお伝えしている御車山の修理ですが、
搬入したら「さぁ作るぞー!」という訳にもいきません。
まずはいろいろ下準備。
最初に計測をして、どの部品をどの部分につけるかをちゃんと控えて、解体して、
汚れも落として、それから破損部分を修理する…と。
なので、まずは計測と記録からなのです。
計測中
写真はうちの金工担当スタッフが、記録をはじめた様子です。
高校生のバイトくんじゃないですよ
車輪は真中の部分、各骨の部分、周囲も輪の部分が二重にそれぞれ8等分ずつ、
木材の部分でもこんなに分かれます。
あとは、この見事な金属の飾り金具たちと
周囲にぐるりと嵌められた鋳物の輪。
これらが全て元の位置に収まるように、しっかり記録していきます。
伸びない糸を貼ったり、いろいろタグを貼ったりしてますので
ぜひ拡大してご覧になってくださいね。
車輪の古さもよく見ていただけるかも。
※記事中では、車輪各部位について、単純に「部品」「輪」「骨」などの表現をしています。
 それぞれ名称がありますが、簡略化しておりますのでご了承ください。

御車山の車輪搬出(6/4)

文化財の修理修復

6月4日(土)に行った、修理のための御車山車輪の
山蔵からの搬出の模様をご紹介します。
その前に、御車山とは…
かつて太閤・豊臣秀吉公が後陽成天皇と正親町上皇を
聚楽第へお招きする際に使った御所車を
加賀百万石の殿様、前田利家公が拝領されまして
その後二代藩主利長公が高岡の町人に下賜され
その車を模して他6基の山車を高岡の工人が作り上げた
重要有形文化財(お祭りは無形文化財)です。
独特の花笠山スタイルが、優美でもあり、どこかかわいらしくもあり。
山車とお祭りの詳細については、高岡御車山公式HPへどうぞ。
(高岡は加賀藩領内で、利長公は高岡に築城しようとなさったのですが
一国一城令により建築初期のうちに取り壊しとなりました。
城の縄張りは高山右近とされ、現在もお城そのもののような構成と
大きな石を使った石垣などが残る、屈指の水濠公園として残っています。
廃城のあとは藩の米蔵・番所等として、明治に入って払い下げられてからは
市民憩いの公園として、そして幻の城であるにもかかわらず日本100名城に選ばれ、
高岡のシンボルとなっています。)
…おっと、お城の話が長くなりました
で、この7基の山車のうち、一番街通の車輪修理が
現在高岡地域文化財等修理協会の皆さんによって手がけられており
その修理作業のために、当センターの工房へ車輪を移動した…ということになります。
前輪を外す
山蔵の中では、上部の人形などは取り外され、地山(囃子方さんが入る部分)と
車輪の状態にしてあるそうです。
↑写真は、まずは山車を牽き出し、車輪を外して傾かないよう
クレーンで上に引き上げておき、片方の車輪を外したところ。
左側に伸びている布を巻いた部分が、車を牽く部分になります。
下に当っているのは、車輪を取り外した時にかませておくために作った
車輪付きの台車です。
前輪をこうして外し、センターへ運んでいる間に、今度は後輪を外す作業。
蔵の奥へ車体を移動させ、今度は後部を吊り上げて、後輪を外します。
積み込み
↑大変重いので、荷台への積み込みもクレーンで。
外した車輪
↑車輪を積み込む前に、いろいろと確認。
監修の林富山大学教授、修理協会会長の人間国宝・大澤光民先生はじめ
錚々たる(作業服なのでご存知の方にも分かりづらいかもしれませんが…)
関係者の皆さんがそろっておられます。
そうして積み込んだ車輪がセンターへ届いた様子は、
過去の記事をごらん願います。
修理は今月半ばあたりから始まるもようです。

搬入その2

文化財の修理修復

さて、無事に館内に入った車輪ですが…
⑦階段脇を抜けまして
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⑧その間に、搬入先の修理工房では、台になる木材をセットアップ。
微妙な凹凸、経年の汚れ等々、いろんな理由もありますが、なにせこのサイズ。
床置きなんてしたら、また持ち上げるのが大変です。
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⑨工房内に到着しました。まずはジャッキの下に角材をあてて、
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⑩ジャッキから角材経由で車輪を下ろして、転がしながら移動。
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⑪ほどよい場所まで来たら、台の上にゆっくり倒して置きます。
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⑫安定するように整えて
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⑬ひとつ終了~!
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※おかげさまで現時点では、無事に4つの車輪搬入を終えております