やっぱり音とか匂いとか、
その他いろいろ
再現できたらいいのにー
…と、このブログを書いたり、「タカオカ、ものづくり散歩。」の原稿を書いていると
ふと思うのです。
職人さんのところやメーカーさんを訪ねたりすると、その場で独特の音や匂いがありまして
井波に行けば粗彫りの際のノミの音がしたり、楠のいい香りがしたり、
庄川ではロクロが回転する音や高速で木を削る音がしたり、冬には木の燃える匂いがしたり、
五箇山に行けば和紙漉きのカタンカタンという音に水を流す音が混じったり
それこそ館内にいても、漆の作業日には漆の液の香りがふわんと漂ったり、
写真だけでお伝えしきれないものがたくさんあります。
せめてそろそろこのブログを動画対応にしようかと時々思うのですが
取材と言いながらも半分身内のようなもの、
そこまで改まってお話してくる訳でもないので
実は多分試みても「余所行き動画」は撮れないに違いない…という難点もあり
しかしやっぱり、こういう、音ものの製造場へ行くと、
やっぱり…と思ってしまう訳で。
こちらの写真↑は、途中工程のおりん。
お経を読みながらお坊さんが鳴らしている、「あれ」のことです。
ご家庭用ではなくて、このサイズになると寺院用になります。
手前に黒っぽい筒のようなものが見えますが、この状態に底板を溶接し、
叩いて叩いて、後ろの方の鉢型にしていきます。
素材は真鍮。
手前のものが黒いのは、酸化して黒っぽく見えているだけで
磨くとまた金色に戻ります。
おりんは元々「鍛造」という、鋳物(鋳造)とは違う工程を経て作られているもの。
最近では技術が進み、ご家庭用の小さなものでは鋳物製品も増えていますが
元々は金属板をひたすら叩いて成形する、鍛造で作られていました。
日本刀や包丁など、いわゆる「打ち刃物」に似た工法です。
下の写真はおりんの口になる部分ですが、まさに真鍮の刀のようです。
もうすぐ発行の「タカオカ、ものづくり散歩。」春号では
この「おりん」の音の背景にある工法などをざっとご紹介。
紙から音は鳴らせないので、音は雰囲気だけですが
この「おりん」というものが、どうやって出来上がっていくかをまとめてみました。
またご覧いただければと思います!