木は難しい(>_<)

庄川挽物木地

木はですね…知れば知るほど難しい
って、大したことを知ってるわけではありませんが、ほんとにそう思うのです。
庄川挽物木地の職人さん方とお話していると、
木のもの、特に素木の状態のものの難しさを感じてしまいます。
「素木」は漆やウレタンなど、何も塗っていない=お化粧していない状態。
確かに塗装の手間は省かれていますが、だからって楽ではないのです。
人間の場合も、「きれいなすっぴん」がお化粧より大変なのと同じです。


例えば木には、こうして割れが入っています↓
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形を作るには影響ありませんが、見た目としては、やはり割れ。
こちらは小さいですが、フシ↓
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キクイムシの痕があったりも↓ケヤキよりトチが好みらしいです。
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まず、こういうものがあると、素木の商品にはできなくなります。
先ほども書きましたが、形は作れるほどの小さなものであっても、
お客さまが求めてくださるかどうかは別の話。
そのほか、同じ板の中でも色が違う部分があり、色の違いを避けようとなさる方もいます。
しかし、そんな小さなキズのようなものは、
例えば漆を塗ってしまえば、まったく影響のない話。
塗木地にする場合には、こうしてパテで穴を埋めて、
洩れたりしないように下作業。
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だからって素木の器に、こんなパテ埋めの跡が見えるのも…でしょう?
つまり、「素木の器」を作る場合、まず材料選びで手間をかけ、
さらに形を作る間に出てきた小さなキズのあるものを省き、ということになるので
材料も時間もロスが多くなります。
「塗ってないから安い」なんてことは決してなくて、
違う手間がたくさんかかっています。
素木のものをご覧になった時には、どうぞ「途中までだから安いんでしょ?」とは
思わないでいただけるといいな、と思います。
素木や素木に近い状態の商品にこそ、挽物職人の気遣いが
たっぷり込められていますから。