井波に行ってきました♪
井波彫刻
…って、度々行ってはいるのですが
今回は、「タカオカ、ものづくり散歩。」秋号の取材に。
こんな、取材的なお話をしに行ったのは、実は初めてだったのです。
訪問先は、井波彫刻伝統工芸士会長の高田乾行さん。
県の工芸士会の副会長さんでもあり、日頃会議などでお会いすることは多いのですが
そうそうゆっくりすることもなく…
今回、たっぷりお話を伺ってきました。
秋号のスペースには乗り切らないので、こちらでもちょっと。
車を降りたなり、残暑の風に漂う樟の香り。
井波の町にはあちこちに彫刻師さんの工房や製材所さんが点在していて
歩いていると、ふと木の香りを感じることがあります。
伝統的なスタイルの彫刻店は、入り口脇が作業場になっていて、
前の方ではお弟子さんが、奥の方にお師匠さんが、
それぞれ座って作業をしておられます。
昨日は息子さんの斉さん(=昨年話題になった彫刻ギターの作者さんです)と、
お二人で欄間の作業中。
拡大画像ですが、作業中の一部。
梅の枝が彫りあがり、上の方に見える羽は、鶴の翼です。
鶴がお好きで、釧路までこれまで数回撮影に行ってこられたのだとか。
松竹梅にも鶴が舞ったり、そういうオリジナルな部分として出てくるのだそうです。
鶴もおめでたいモチーフですし、形も優雅できれいですから
さらに魅力も増しますね
こちらは鶴の部分の拡大。
上の彫ってない部分は枠になるところ。羽が飛び出している部分は
当然枠から飛び出した仕上がりになり、スケール感を高めます。
鶴の顔は、現在斉さんが彫っておられるものと合わせるために、一番最後にそろえて彫る予定だそう。
お店の展示スペースには、こんな作品も。
高さは…50cm弱と言ったところでしょうか。細い羽や足の間を彫り出した、繊細な作り。
「これは冬場に見られる求愛のダンスなんだよー」とのこと。
確かに、テレビで見たことがあるような
中学生の頃井波に来て、彫刻店の店先に並ぶいくつもの獅子頭に興味を持ち、
寺社彫刻をやりたくて、高校卒業後入門したという高田さん。
当時周りは近隣の町村の、中卒の人が多かったなぁ…とのこと。
井波彫刻では親方に入門し、最初の5年間は並行して訓練校に通うことになります。
まったくの素人さんも、芸大で彫刻をやった人も、みな一年生。
技術だけではなくて、井波の彫刻師としての身の立て方、ご近所とのお付き合いなどを学び
「産地の若手」として活動していきます。
デッサンや彫塑のような基礎から、親方によって仕事の主流が違うので、
親方の元だけでは学べない種類の彫刻もまんべんなくできるように
いろいろなことを学ぶそう。
そのほか、他の親方の仕事に興味があれば、休みなどを利用して見学したり、質問したり。
された方も、きちんと教えてあげるというとてもオープンなシステムのようです。
「企業秘密は?」と尋ねると、
「ないねぇー、万一の時の補修とかそんな良くない技くらいじゃないかなー」
と親子で笑っておられました。
それでも最初に5年みっちりご一緒されるので、なんとなく手は似てくるそう。
こちらのお弟子さんは井波から出て全国に散らばっておられるようですが
忙しくなると来てもらって手伝ってもらうこともあるそうです。里帰り気分ですね。
井波の彫刻師さんたちには、店先で作業中でもこんな風にお話ししてもいいのだそうです。
お訪ねの際は、気軽にいろいろ質問など投げかけてみてくださいね。