地名じゃなしに区別する~地域ブランドってなんだ?・続
その他いろいろ
同じような産物でも、地名が入っていたら差別化されてるじゃないか?
…ということについてもう少し。
せっかくなので、工芸品、それも全国いろんなところにある漆器を例に
ちょっとつづってみたいと思います。
漆器産地は、大小さまざま、全国にたくさんあります。
有名なものとしては、輪島塗、会津塗、津軽塗等々の伝統的工芸品産地。
「~塗」とか「~漆器」と言わず、技術等を名称にしているところでも
村上木彫堆朱、飛騨春慶、鎌倉彫と、有名どころがたくさんです。
伝統的工芸品の指定を受けていなくても、小さな産地はたくさんあり、
富山県内でも指定品の「高岡漆器」以外に、
魚津漆器や城端塗といった漆器が存在しています。
はたしてこれらは、地名だけで区別がついているのでしょうか?
…と言えば、もちろんそうではありません。
同じ素材を用い、職人の流入や技術の伝播があり、できることの範囲や
似通ってくることの当然性はあるでしょうが、
やはりその土地柄ならではの個性というものがあるんです。
例えば鎌倉彫。
鎌倉彫は鎌倉が日本の政治の中心であった鎌倉時代、禅宗の仏教が伝わった際に
共に伝来してきた工芸品の中の技術を当時の宮大工たちがまね、
木の器に彫り物を施して漆を塗り始めたのがはじめだと言われています。
つまり、鎌倉彫は、鎌倉に当時幕府があったからこそできたもの。
若狭塗の場合は、江戸時代、若狭湾に面した小浜藩の漆塗りの職人が、
中国の漆器作りの技術にヒントを得て、海底の様子を図案化して始めたものです。
若狭の海があったからこそなんですね。
その後改良工夫を重ねて生まれたの「菊塵塗」、「磯草塗」という技法があみだされたということです。
こんな風に、一口に「漆器」といっても、全国津々浦々。
伝統的工芸品の場合は、指定された技術があり、それを守っているものにのみ
「伝マーク」と言われるシールが貼れるので、
これもまた、地域ブランドの一環といえるのでしょう。
※事実商標登録をしているところも多いですが、名前を語る類似品も多いので
ご注意いただきたいところです※